これからの日本の在り方について(4)(租税)

違憲選挙後、税制度の議論がされていますが、予想通りの案が様々出てきています。法人税減税、富裕層向けの資産の贈与税非課税枠の設置、商品券ばら撒き案、公共事業に加えて、従来通りのばら撒き案には、まったく開いた口がふさがりません。

 

彼らは結局、景気浮上、GDPの底上げを狙っているのですが、本当に超短期的な効果しか持ち得ません。自分たちの政権時代のみの短期間の景気浮上、GDPの上昇が何の意味があるのでしょう。

 

自分たちがデフレ脱却を成し遂げた事実が欲しいのだと思うけれど、今私たちは、今の時代、日本のことだけを考えるのではなく、子供たちの時代、世界、地球レベルで物事を考えてゆかなければならないのです。

 

今彼らが考えていることは今まで彼ら、私たちがしてきて失敗してきたことばかりです。無謀な金融政策に、締まりのない財政政策。

 

根本的な考え方が間違っているうえに、特に今回の問題点は法人税の減税、資産家向けの贈与税の非課税枠の設置です。

 

法人税減税により企業の投資の増加、労働者の賃金上昇をねらっているのでしょうが私はそんなことはあり得ず、企業の内部留保が増えるだけだと思う。今の企業が労働者の賃金を上げるわけはないのです。

 

政府自らが一方で非正規労働者を増やしておいて企業が何で労働者の賃金を上げる政策をとり得るのでしょうか。それはあり得ないのです。

 

あり得るとすれば政治家への企業献金の増額か天下り官僚の増加でしかないのです。

 

資産家向けの1000万から3000万円までの子や孫への学費、住宅、結婚資金贈与の非課税化、多くの国民にとって縁がない話だと思われます。誰が考えたのか知らないけれど、これだけ税収がないときに、しかも消費税増額先送りの中で、経済対策の一環でもあるとしているが根本的に租税の在り方を取り違えている。

 

租税について考えるという他の提言の中でも述べていることであるが、租税を考えるうえで3つの観点から考えなければならない。

一つが民主主義の観点からであり、もう一つが平等の観点からであり、最後に考えなければならないのが租税の目的の一つである所得の再分配機能である。

 

彼らは租税というものをあまりにも安易に考えすぎている。今回の贈与税非課税も1~2年の短期の処置であり、国民の租税への信頼を損ねることはあっても何のメリットもない。一時的な経済効果では取り返しもつかない大きな国民の税への信頼の損失という代償を払うことを彼らはまったく気づいていないのです。

 

その原因が何かというと、彼らはどこまで行っても治者であり、被治者との同一性という観点で国家政治を考えたことがないからだと私は確信している。

 

所得税、相続税は所得の再分配の大きな柱であり、世界中で起きており、我が国でも昨今生じてきている貧富の格差拡大の解消のための必要、不可欠の税制度なのです。

 

彼らには所得配分配の税制度の目的が何なのかがわかっていない。民主主義の観点から言えば、説明責任のいらない私的権力を排除して民主主義を守ることが一つの大きな目的だと私は考えています。

 

安易に短期間の思い付きの目的のために変更するようなものではないのです。

 

もうすぐ今後の消費税の在り方も決まってゆくことでしょう。

租税について考えるという他の提言の中でも述べていますが、複数税率は避けるべきです。何を非課税、低税率品目にあげてゆくのかおそらくロビー活動が活発化して、そこに政治家への企業献金、官僚の天下りが発生し、行政コストは肥大化し、肝心の税収は減ってしまう本末転倒の結果が目に見えています。消費税の先進国であるイギリスを見れば誰もがわかることです。

 

食品など多くの非課税、低率の物品を誰が多量に消費するかと言えば結局、金がない人より金がある人であり、結局多くの資産家への減税にもつながってしまうだけのことです。

 

消費税とは本来逆進性の税であることを理解した上で、しっかりと消費税としての税収をあげたうえで、社会保障などの形で社会的弱者に対して生活保障すべきことなのです。

 

2014年12月30日    文責  世界のたま                sign

 

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