第Ⅳ部 借金大国 日本の終焉(最終章)

私は、政治や経済の専門家ではありません。

 

そんな私がホームページを立ち上げ、その中で今回、借金大国、日本についての提言をしようとしたのは、もう私たちにとって時間がないからです。

 

裏返せば、今が最後のチャンスだと思っています。今ならなんとか間に合うと思うからです。

ただし、私たち国民皆が相当の痛みを我慢しなければなりません。

 

現在、政治家を信用している人はほぼいないと思われますが、その一方で、世の中には政治、経済の専門家がおり、大企業の経営者、投資家がいるのだから何か日本経済がひっくり返るようなことがあればニュースにでもなるだろうと思っておられる方が大多数だと思います。

 

ただ、私はある日気づいたのです。こんな借金大国がどう考えてももつわけはないと。

 

しかし、テレビなどの世の中の情報は、二人の馬鹿な大臣なのか犯罪者なのかわからないような人間の辞任などの脳天気な、くだらないレベルのニュースばかりです。

 

気づいている人はいるのですが、多くの国民は本当の意味では知ってはいない。

 

ニュースで取り上げない以上、はっきり言って財政史など今まで個人的にはまったく興味はなかったのですが、これからの国の在り方を考える上で避けて通れず、自分の目で日本の現代の財政史を振り返って過去の事象を客観的に分析して自分なりの結論を出すことにしたのです。

 

政治家、官僚含めた他人の分析はこういう場合あてにはならないし、あてにしてはいけないのです。

 

当然ながら安倍首相、黒田日銀総裁、多くの上級と呼ばれている官僚は知っています。

日本国財政が現実的に、破綻していることを。

 

10月20日だったか安倍首相が世論調査で消費税増税反対が70~80%だったことに関して、上げないリスクを考慮して検討するような発言の記事が出ていたがリスクという表現を皆さんはどう感じたかもしれないが、私は日本が本当に危ないのだなと直感しました。

 

今の日本の政治、財政状況はいろんな意味で第Ⅱ部の中で取り上げましたが第二次世界大戦末期の社会情勢に似ていると思っています。

 

一見、自由があって全く違うよと笑われる方が多いと思いますが私には本質的な部分が似ていると思えてならない。皆さん、実際に自由があることと、自由があるように見えていることとは全く違うことなのです。

 

実際、累積の国債残高はGDPの二倍を超えてきているのに、それでも財政的に何も問題がないかのような社会の雰囲気

 

そして、アベノミクスや日銀による異次元緩和金融政策などの多少の延命効果しかない財政、金融政策をさも根本的な解決につながるかのように、錯覚させられている私たち国民は、ちょうど大本営発表に騙され続けた当時の国民と重なっている。

 

折しも、他の提言でも反対し、現在広島地裁民事部にその執行停止を訴えている特定秘密保護法案が12月に施行されようとしています。

 

これはおそらく、日本のこれからの財政破たん後のことも見据えていると思われます。

現実的に破綻が生じれば軟着陸を試みるとは思いますが、かなり日本経済、国民生活が混乱することが予想され、国民への情報管理を徹底したいことの付箋だと思っています。

 

それではなぜ破綻しているのか見てゆきましょう。

 

1999年 セロ金利政策(景気回復のため)

2001年 QE(量的金融緩和)の開始(日銀の当座預金残高を政策目標に置く)

日銀当座預金残高は5兆円から35兆円まで段階的に引き上げられ、日銀保有長期国債残高も50兆から100兆に積みあがってゆくことになる。

しかし、ゼロ金利政策、QEによるマネタリーベースの拡大もデフレ脱却に至らなかった。

2006年 CPI(消費者物価指数)が前年比0%以上の安定期に入ったとしてQE解除、無担保コールレートの引き上げ

2008年 日銀保有長期国債残高100兆円から63兆円へ減少

リーマンショック

日銀は無担保コートレートを0.5%から0.3%に引き下げる。

補完当座預金制度(日銀当座預金の所要準備金を超える部分につき0.1%の利息を付ける。)

2009年 長期国債買入れ額を年額21.6兆円ベースに引き上げると同時にオペレーション対象となる国債の種類を拡げたり、金融商品を日銀が直接購入する政策も行う。

2010年 包括的金融緩和政策の導入

1.無担保コールレートの引き下げで0~0.001%へ誘導

2.物価安定までのゼロ金利政策の持続(時間軸効果)

3.APP(資産買入れ等の基金)を日銀のバランスシート上に創設

国債などの金融資産買入れのための基金だが上限枠が徐々に引き上げられ101兆円まで増枠されたり、日本銀行券発行ルール(日銀の長期国債保有を銀行券発行残高量までとする内規)が適用されない問題点があった。

 

結果として日銀の国債保有額は増大し、リーマンショックにより金融機関がリスク債券からの逃避資金を長期国債に流れ込ませたこともあって長期金利は低下する。

 

2012年 第二次安倍内閣発足(自民党の政権への返り咲き)

1ドル77円

2013年4月4日 黒田日銀総裁が量的、質的金融緩和政策の導入の発表

マネタリーベース(市中通貨量)135兆円になる  年60~70兆円の拡大計画

5月 1ドル103円

2014年3月 マネタリーベース209兆円になる

 

2013年に導入された量的、質的金融緩和政策とそれまでの量的金融緩和政策との違いを見てみましょう。

1.それまでの金融政策の特徴

1.市場に金利政策という規律を失わせないように模索していた。

APPに関しても当初は長期国債の買入れは極力避けていた。

補完当座預金制度についても金利のつかない超過準備が多額に積み増されると、その資金がオーバーナイト市場に大量に流出する可能性があり結果としてオーバーナイト金利が政策金利を下回り名目金利0という短期金融市場の崩壊に直結する可能性があり、補完当座預金制度で超過準備に0.1%の金利を付けることでオーバーナイト金利が0.1%を下回ると、その資金が金利裁定行動により日銀当座預金に還流することを利用してオーバーナイト金利を0.1%以上に保とうとした。

2.金融システム安定のための政策

日銀が民間金融機関の保有資産を買い取る制度によって金融システムが銀行破綻から機能不全に陥ることがないように意図したものであった。

 

2013年以前の金融政策は単に金融緩和を狙ったものではなくいかに限られた政策を有効に保ちながら市場に対して金利という規律の維持、金融システム不安を顕在化させることなく許容可能な緩和目標を達成するかの試行錯誤の過程だった。

換言すれば、ゼロ金利政策とQEによる顕著な効果が上がらない中で日銀の複合的な政策目標は財政ファイナンス(国債の貨幣化)に陥ることなく、金融システムの安定性と秩序を保つことにあった。

そのためには国債金利を低めつつ、流動性を供給することで金融機関の経営の健全性を確保する必要性があり、これが積極的に金融緩和を推し進める一つの要因となっていた。

 

2.2013年以降、安倍政権の下で行われている量的・質的金融緩和のもつ危険性

 

1)2013年4月4日導入された量的・質的金融緩和の概要

1.消費者物価の前年度比上昇率2%を2年程度で実現する。

 

2.マネタリー・ベース(市中通貨+日銀当座預金通貨)を年間60~70兆円ベースで増加させる。(実際H25/3には135兆円だったマネタリーベースがH26/3には209兆円で74兆円増加しています。ただしこの間、日銀当座預金通貨が47兆円から118兆円と71兆円増加しており、市中へはほとんど流れていない。)

3.買入れ対象国債を全期間の国債として買入れの平均残存期間を3年弱から国債発行残高の平均並みの7年程度に延長する。

4.APPが行ってきた金融資産買入を年間1兆円ベースに増額する。

 

2)それまでの金融政策とは異なった危険性とは

1.日銀券発行ルール停止による長期国債大量購入

単なる内規に過ぎなかったが、日銀にとっては金融政策の規律を求めるもので、それによって日銀はQE、APPの創設を経ても長期国債の引き受けに関しても節度ある姿勢を示すことができたが、

このルールの停止を受け、日銀は無制限かつ無秩序な金融緩和を行うことが可能となり、限度なき日銀の国債の買い支えを可能とし日銀が国債の消化基金に陥る危険性をはらんでいる。

2.国債、財投債の引き受け構造の変化(日銀が唯一の国債の引き受け手への転換)

2006年までは郵便貯金が126.5兆円の国債、財投債を吸収していたが2007~2012年間での増加額は1兆円まで激減した。

これは郵貯が財政投融資預託金の引き出し額のほぼ全額を国債・財投債転換し終えたことが原因だった。(要はもう買えなくなってしまったということ)

したがって郵貯に代わって次に、買い支えたのが国内銀行だった。

2011年までに国内銀行は政府発行の国債、財投債の増加分の60%を引き受けている。

この原因は金融危機が顕在化するなかでリスクの低い安全資産である国債に投資先をシフトさせたことが誘因であった。

日銀の低金利政策、国債購入は預金という負債を貸し出しに用いることができない国内銀行を国債投資に集中、促進させ、かつ金融危機下の民間金融機関に対して安全資産を提供するという意味があった。

一方、日銀から見れば低金利を維持しながら日銀以外の金融機関に国債を安定的に保有させる補完的な役割を担っていた。

財政融資資金預託金の縮小を日本政府が国債、財投債の発行によって賄い、それを民間金融機関が買い支える移行過程を円滑にしていた。

そして結果として日本政府は国債の低利で安定的な発行、借り換えを行うことができていた。

しかし、日銀による2012年末以降の多額の買いオペレーションは、仮に民間金融機関が国債を貨幣化した資金を貸し出しなどで転用できない状態が顕在化し再び国債を購入するスパイラルに陥ると国債の市中消化は形式的なものにとどまり、結果として財政ファイナンスに陥る危険性が高い。

3.インフレターゲットの持つ危険性

量的・質的金融緩和政策導入以前、日銀は明確な物価指数目標を明らかにしてこなかったが2013年初めて対前年比2%以上の物価上昇という目標をあげた。

このことの持つ意味は一つには物価上昇が顕著になるまで日銀が国債を買い支えることを公言したことになってしまい、増税、国債発行の漸減などの財政規律是正の障害になってしまう危険性をはらんでいる。

仮に2%の物価上昇率が達成されるのであれば、長期国債金利も上昇している可能性が高く、累積し、長期化した国債の借り換え、償還に政府財政が耐えれなければ、日銀による財政ファイナンスが拡大してゆくことになる危険性が高い。

 

まとめ)

最後に、私たちが今、しないといけないこと、今しかできないことをお話しして最終章の最後とさせていただきます。

 

日本財政の現代史を振り返ることで、私自身多くのことを学ばさせていただきました。

 

戦後、間もなく焼け野原の日本社会再生のため、ヨーロッパの国々とは違って税金を少なくして、個人でいえば貯蓄、企業でいえば内部留保を増やした。

 

それが可能だったのは高度成長に伴う豊かな財源、まだ残っていた子が自宅で親の世話をする家族制度、企業の終身雇用、まだ少なかった高齢者数であった。

 

高度成長が終わり、増える社会保障費の中、小さな政府を想定した税制度の下では不可能であった財政を支えたのが、国債の発行と、個人、企業の貯蓄を利用した財政投融資だった。

 

国債を発行して財政の穴埋めをする中で自己保身のみの族議員が出現し、公共事業を増やし国民の支持を得るために減税も続ける悪循環の中で財政規律は失われ1975年赤字国債発行となる。

 

第Ⅰのボールであったが国民は財政規律より減税を選びさらに悪化、赤字国債を財政投融資が支える構図が出来上がる。

 

バブルがはじけ日米構造協議などの外圧の中、莫大の不良債権処理もしないで減税、赤字国債頼みの公共事業は膨らんでいった。

 

赤字国債の発行を減らすため本来ならきちんと国は、増税、歳出抑制など財政政策をしなければならなかったが、それはせずに、地方の地方債発行を促すべく巧妙な手段を講じて国の借金を地方に肩代わりさせるというこれでも国家なのかというあくどいこともなされ、国家としての終末期を迎える。

 

1990年台、こうして第Ⅱのボールも打ち返されることはなかった。

 

その後、政権交代しても、政治家、官僚、国民自身が変わることもないまま時間だけは過ぎ去り、残ったのは莫大な借金であった。

 

本来なら財政政策で打開しないといけないところ、結局、政治家、政党の議席を守るため都合の良い、国民受けの悪い、増税や社会保障費削減などの財政政策は避けられてしまい今日に至ってしまっているのです。

 

財政政策が機能しない中、日銀を中心とする金融政策のみが先行して打開しようとしてもこれは本末転倒で、結局無理が来てしまうことはわかっている。

 

現実的に2013年以降の金融政策は私が思うに、政策とは名ばかりで制度的に日銀の国債買い入れの上限枠や種類を撤廃し、その上、国債の償還年数を伸ばしたり、時間軸の面で長期に買入れができるようにしたり、単に日銀が赤字国債の最終的な消化基金になってしまっただけのことである。ただ言えることは適切な財政政策を行わない現状ではこうなることも時間の問題であったことも事実である。

 

安倍政権がいわば首を吊っている人の踏み台を外してくれただけのことだと思う。

 

財政と金融の分離にも関わってくるが、本来なら独立した金融政策で財政の規律が図られるところであるが、現状はこれも現在の金融政策の目的なのであろうが、これだけ日銀が国債を買い入れてもマネタリーベースは増えても日銀当座預金通貨が増えるだけでマネーストックは増えていない。補完通貨制度で日銀当座預金の過剰部分に金利がついているからであろうがそのせいでインフレ、金利上昇を防げている反面、金利上昇に伴う、本来ならば機能すべき財政面での歳出抑制、国債発行抑制が機能していない。

 

こうして赤字国債の増大、日銀での買入れが常態化している。

 

私はこの異常な状態が長く続いていけるわけがないと思います。

 

実際問題、郵貯、民間銀行含めて基本的に国債を買い支えることはできなくなってきており、何とか日銀が買い支え、幸いと言っていいか意図的と言っていいか私には判断がつかないが、微妙に、今のところ日銀当座預金通貨が増えるのみで市中流通通貨量は増えていない状態である。

 

そのためインフレもそれほど生じなければインフレターゲットからすれば際限なく政府は国債を発行し続け、日銀が引き受け続けることが可能である。

 

ただし、その額が大きくなればなるほど円安による輸入価格の上昇など何らかのきっかけで金利上昇などが生じてしまえば、政府、日銀からの圧力などがなければ、日銀当座預金からの市中への通貨量もなし崩し的に一挙に増大して国債金利も上昇し、発行、償還ともに困難な状況になり財政、金融政策とも手だてがなくなってしまうであろう。

 

最終的にはどのみち財政健全化しか方法はないのです。金融政策でごり押ししている状況ですが行き詰りはもうそこまで来ています。

 

結局、現在、金融政策の中で国債の償還も伸ばす作戦をしていますが金利等考えると将来の国民の負担を増大させているだけですべて麻薬と同じ一時しのぎです。

 

麻薬中毒になった国民は立ち上がるのにさらに多くの時間を要してしまうでしょう。

 

経済用語は難しく、財政、金融政策は、巧妙な手口でされているので本当にわかりにくいのです。

 

ただ、はっきりしているのは、最終的に増え続ける国債のつけは国民の預貯金で処理するしかないのです。

 

いわば国債が紙切れになると同時に私も含めた、国民の預貯金がなくなるだけの話です。

 

政府、日銀がこれほどまでにのんびり適当にできているのも幸いにして日本国債の95%程度は国内で持っているいわば国民の預貯金で担保されているからです。

 

よく政府が国民一人あたりの借金が何百万円ありますなどと言っていますが、その通りで最終的には金融封鎖でもして強制的に差し押さえてしまうでしょう。銀行などでの預貯金を1000万円までしか保障しないのもその例の一つです。

 

今、日本政府が一番恐れているのは海外へ国民の預貯金が流出することではないかと私は思います。

 

国内で金融封鎖しても海外へ流れた資産に関しては日本国債との相殺ができないからです。逆に言えば、すでに多くの官僚、企業のトップなどの資産家は海外へ資産を移していると思います。

 

私が第二次世界大戦末期の政治状況に似てるというのもそういう点で、最終的に国家のしりぬぐいをしてお国のためと騙されて死んでゆくのは何も知らされず黙々と国家の方策に従って貯蓄をして慎ましい生活をしている庶民である。

 

今の日本の借金をどうしていけばいいか、このまま黙って破綻が来る時を待つのか

今こそ、国民一人一人、企業で働く一人一人、企業そのもの、すべての人たちが、自分たちが今ある存在理由、何のために生きているのか、誰のために生きるのか

 

もう一度立ち止まって考えてませんか

 

私は思います。

 

私たちが今しないといけないことは

 

私たち一人一人が、身を削って財政再建をしなければならないのです。

 

日本、世界、そして私たち自身のために

 

個の中に全体があると信じて。

 

最後になりましたが、日本財政の現代史を執筆された諸先生方の考え方に共鳴し、多くのことを教えていただき、提言にも取り上げさせていただきました。諸先生方のような方がおられることにほっとすると同時に今後のご活躍をお祈り申し上げてお礼の言葉とさせていただきます。

 

平成26年10月28日  文責 世界のたま            sign

 

 

 

 

 

 

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です